9.やっと見つけた彼女~SIDE惺~

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ひとりには慣れていて、むしろ歓迎していたはずだった。 けれど今はひとりきりが寂しくてつらい。 女々しいと、情けないと、わかっているが希和に触れたくて仕方がない。 なんで、もっと早く気づかなかった?  すべてを伝えなかった? 希和の控えめな性格も、なにかを恐れるような視線も理解していたつもりだったのに。 俺から離れるわけがないと高を括っていた。 この四年間で自分の未熟さと愚かさを嫌というほど思い知り、後悔は数えきれないくらいした。 眠れない夜を幾度となく過ごし、仕事に没頭して不安を打ち消す、自暴自棄の一歩手前のような日々がどれだけ続いただろう。 目に映る世界はすべて灰色でなににも心が動かなかった。 でもあの視察の日、希和を見つけた。 彼女だけが鮮やかな色を放ち、輝いていた。 本当に、お前なのか? 一瞬、しつこく願いすぎたせいで幻を見たのかと狼狽えた。 夢ならまだ消えないでほしいと、緊張で手が震え、息が止まった気がした。 久しぶりに会う希和は相変わらず華奢で、以前より落ち着いて艶やかな美しさが滲み出ていた。 もしや、恋人がいる? 考えた途端に腹の中にどす黒い感情が湧き上がる。 ――希和は俺だけのものだ。 強すぎる身勝手な独占欲だとわかるのに、感情をコントロールできない。 グッと唇を噛みしめ、愛しい人を見つめる。 俺と目が合ったときの慌てぶりと顔色の変化に、現実だとやっと理解した。 柄にもなく胸が詰まって、泣きたくなった。
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