9.やっと見つけた彼女~SIDE惺~

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沢野井さんと長い話を終え、帰路に就く。 別れ際に、舘村家から希和と悟己をしっかり守るようにと念押しされ、うなずいた。 渕上に帰宅の連絡を入れると、希和も悟己もまだ眠っていると言われた。 留守番の礼を伝えると、素直すぎて怖いと失礼な返事が返ってきた。 赤信号で停止し、夜の街に視線を移す。 怒りが完全に消えたわけではないだろうが、なんとか謝罪を受け入れてもらえただけでもよかった。 沢野井さんには今後もお世話になるだろうし、できれば良好な関係を築きたい。 なにより希和が信頼を寄せる大切な人だ。 もちろん札幌の女将もだ。 直接礼と謝罪を伝えに伺いたいと沢野井さんに告げると、自分が連絡しておくので慌てなくていいと言われてしまった。 まずは希和と悟己との生活をしっかり築きなさいと諭された。 改めて沢野井さんからこれまでの希和の話を聞き、自分の最低さ、愚かさに嫌気がさした。 希和が一番心細かったときにそばにいなかった自分の不甲斐なさに腹が立った。 沢野井さんがあの青年を推す理由も少なからず理解できるし、すべては今後の俺の行動次第だ。 希和は俺を許せないかもしれない。 それでも、どれだけ自分勝手と言われても、どうしても一緒にいたい。 ともに幸せになりたい。 そばで愛させてほしい。 希和のいない日々は、真っ黒で寒くて心が凍え死にそうなんだ。 希和、お願いだ。 もう一度、俺と恋をしてくれないか?
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