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翌日はまたいつものようにグレイと手を繋いで時間を過ごしていた。私は手を繋がれたまま、お城の中庭で夢のような時間を過ごしたこと以上に、別れ際のグレイのキスにふわふわとした夢心地を感じていた。
「――アイラ様?アイラ様」
「え?何?どうしたの?」
「いえ、ずっとどこか一点を見つめていらしたので……心配になりまして」
「大丈夫……」
「もしかして昨日の……そんなに良かったですか?」
「え⁉き、昨日のって、そんな、キスなんてなんとも思ってない!」
「おや、私は中庭のことを言ったつもりだったのですが」
「な!」
グレイはまた意地の悪い顔をしている。この憎たらしい意地悪な笑顔を見て、私はどうしようもなく胸が高鳴ってしまう。
「昨日から、ううん。違う、あなたにキスをされるようになってから、私の体、おかしいの」
「……どのように?」
「あなたがいなくなってもずっと、あなたのことばかり頭の中で思い浮かんでしまうの。今も、いつものように手を繋いでいるだけなのに、心臓が早くなって……」
「それが好きということですよ」
「好き?でも私、シルヴィアにはこのような気持ちには……」
「恋愛の好き、ですよアイラ様……もっと知りたいですか?」
「……知りたい」
「それでは、ヒールを教えていただいているお礼に、私がお教えいたしますね……秘密ですよ?」
もうグレイは意地悪な顔をしていなかった。昨日と同じように、真剣な顔が近づいてきて――。
グレイとの秘密は、シルヴィアとの秘密とは違って刺激的だった。
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