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「――ではアイラ様はシルヴィアに憧れて髪を伸ばしてらっしゃるのですね」
「そうなの」
シルヴィアの髪は綺麗なブロンドのロングヘアーだった。使用心として働いている時は常に髪をまとめていた。一度ほどいて見せて欲しいとだだをこねて見せてくれた時になびいた髪と、シルヴィアの佇まいの美しさに見惚れたことを覚えている。それから私はずっと髪を伸ばしていた。
「シルヴィアにも同じくらいの子どもがいるんだって言ってた。だから私に優しくしてくれたのだと思う……グレイのご両親は?」
「私は孤児ですので……」
「あ……ごめんなさい」
「いえ、外の世界では普通のことですよ……あ、すみません。外のお話はご法度でした」
「ううん。大丈夫……むしろ教えて欲しいくらい」
「申し訳ございませんアイラ様。命令以外の外の世界のお話をすることは許されておりませんので……」
「そう……」
シルヴィアが“内緒のお話”をしてくれていたことはグレイには黙っておいた。
「――たくさんの思い出をお話いただきありがとうございました……実は本日はアイラ様に大切なお願いがありまして」
「なぁに?」
「アイラ様のヒール(回復魔法)を私にお教えいただきたいのです」
「え?」
私がここにいる理由。それはこのヒールのせいだった。
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