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【 side-カズキ 】
寝室以外の部屋は、今はゴミが散らばっている
元々は綺麗に片付けのされていた部屋だったのに、今では見る影もない
ただ、写真立てに入れられた写真だけが綺麗に掃除もされ、いくつも飾り並べられている
茶色の長毛種の猫の写真
ショーゴの愛猫である『ニャゴ』の生前の写真
ニャゴが交通事故で亡くなってから、もうすぐ1年が過ぎようとしといる
宅配便の荷物を受け取ろうとして、扉を開けた瞬間、いつもなら絶対に飛び出さないニャゴが、その日は何故か一目散に表に飛び出したらしい…
慌てて追いかけたショーゴの目の前で、トラックに撥ねられる茶色の塊
ベシャリと地面に落ち、赤黒く染まっていくサッカーボールくらいのモノ
ずっと一緒にいた、大切な、大切な家族を目の前で亡くした…
ショーゴは、あの日に壊れてしまった…
慰めようと、髪色も似ていた僕が猫耳を付けて、出迎えたのが悪かった
あの時、大好きな彼は、もう耐えられなかったんだと思う
僕にニャゴの着けていた首輪を付け、この部屋から出ることも許されない
どこで買ったのか、ニャゴのフワフワの尻尾にそっくりな尻尾付きのバイブ
この1週間、僕のお尻には常に挿入され続けているバイブ
「んっ…」
カーテンの隙間から入ってくる陽射しで目が醒める
疲れ切り、泣いた跡の残る彼の目元を優しく舐めて綺麗にしてあげる
僕に縋り付くように抱き着いて離れない彼に笑みが溢れてしまう
「ショーゴ、大丈夫。僕はずっと一緒に居るから。あの猫と違って、ずっと、ずっと愛してるし、一緒にいるから…」
彼の髪を優しく撫で、頭を抱えるように抱き締める
僕はあの日から、恋人ではなくなったけれど…
彼の大切なネコになった
恋人以上の家族に
「ショーゴ、愛してる。猫としてでもいいから、もう、捨てないで…」
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