早すぎた別れ「温もりの意味」

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早すぎた別れ「温もりの意味」

時渡りの少女は次なる想いを感じ取り、その光景を眺めていた。 そこは僅かな月明かりに照らされた橋。街灯の並び立つその場所で女は揺らめく水面を眺めていた。この冷たい薄氷の下に身を沈めれば、失った愛を再びこの手に掴めるのだろうか? 女は凍り付くような微笑みを浮かべ、ただ一人でその場にたたずむ。その左手には、片割れをなくした美しいサファイアの指輪が虚しく輝いていた。   時に、叶わぬ願いがこの世には存在する。自らの力ではどうしようもない悲しき願いが。時渡りは、そんな願いに身を捧げて大切なものを失った女の想いの中に自らの身体をとけ込ませていった。 遡るは女の過去。その想いはどんな始まりを迎え、そしてどんな結末を残すのだろうか。
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