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フィリジア病がベカトワに蔓延してすぐ、フィリジア対策として島国の政府はベカトワの街を完全に封鎖した。対抗手段のない病の拡大を最小限に抑えるためである。だが、それは同時にベカトワ三万人の命を見捨てる判断であった。
封鎖が決定し、ベカトワの住民たちは絶望に打ちひしがれた。しかし、その状況を良しとしない者が現れる。
ベカトワの街から少し離れた街の学者が、フィリジアに対するワクチンの開発に名乗りを上げたのだ。その名を、クレバー・トンプソン。ベカトワの北東、キリドワの街の大学教授である。彼はフィリジアの症状を聞き、ベカトワの住民たちが苦しんでいるのを知ると、当時彼の助手であったフランク・フーベリンと共にベカトワに入った。
クレバーらが見たベカトワの惨状は、想像を遙かに越えたものであった。多くの住民がフィリジアにかかっており、この地方特有の暑さがその致死率を大幅に引き上げている。このままでは、ベカトワの市民はフィリジアで全滅してしまう。
事態を重く見たクレバーらは、早速フィリジアのワクチン生成に取りかかった。
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