師への尊敬「二人の学者」

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その後…………   フランクは大学に戻り、クレバーの跡を継いで教授となった。今は学生たちに熱心に教鞭を振るっている。学会や書籍の執筆と大忙しだ。 そんなハードな毎日の中、彼は毎年春の墓参りを一度も欠かさない。生涯尊敬したまま眠った師に、彼はその前の年の出来事を話すのだ。   そして三年がたった今。彼は、懐かしき少女に出会う。その少女の下げるエメラルドのネックレスに亡き師の気配を感じながら、涙もろい彼はまた涙を流す。   「教授……また、一緒に美味い酒を酌み交わしましょう」   師の墓前で涙ぐむ男を眺める時渡りの表情は、実に優しげな微笑みを浮かべていた。   「しっかりやれよ」   どこからか流れてきた風に乗って、老教授の豪快な笑い声が聞こえた気がした。   師への尊敬「二人の学者」 完
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