トキワタリノアサ

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混沌の渦の奥深く。時渡りの少女は今回の「想い」を見定めた。ここは彼女だけの世界。この場所では、数々の人の想いが少女の手元に届く。 そして彼女は一つの想いに目を付けた。どことなく後悔の色をたたえた一つの想い……   悲しみと幸せ。その二つが複雑に混ざり合った「後悔」。時渡りはゆっくりとその想いに手を伸ばす。彼女がそれを求めると、豆粒ほどの大きさに見える想いは急激に膨張を始め、少女を容易に覆いつくせるほどのサイズに変形した。 肥大化した想いの中に、少女は一人の若者の姿を見た。彼が、この想いの持ち主であろうか。 舞台は古い木造の屋敷。時代は近世、世界が高度な成長を初め、旧式の自動車が行き交う時代。 悲しげな後悔をたたえたその想いに、時渡りの少女は吸い込まれていく……
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