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先輩の声にオレの中で何かがキレる音がした
更衣室内に入ると、羽交締めにされて、服が乱され露出した白くて綺麗な肌に目がいく
ブチッと何かがキレる音がし、思い切り羽交締めにしていた人を蹴り飛ばした
殴りかかってくる相手を往なし、代わりに鳩尾を殴る
止めを指すように蹴ろうとした瞬間、「騎士っ!」という先輩の声に我に返り、拳を握っていた手をヒラヒラと振り
「さっさと出て行ってくれます?まだヤルってなら、相手にはなりますけど?」
αの威圧感を抑えることなく、冷たく言い放つと、3人は逃げるように去っていった
ハァァァっと深く溜息をついてから、先輩の方を振り返るとあられも無い姿を目の当たりにし
「チッ、やっぱり殺すつもりでヤればよかった
姫宮先輩、大丈夫ですか?あの、これオレのだけど羽織ってください。小さいけど...」
自分のブレザーの上着を先輩に渡し、極力肌を見ないように顔を背けるも耳まで真っ赤になっており格好がつかない
「柳、ごめん。助けてくれて、ありがとう」
小さくカタカタ震える先輩を安心させようとギュッと抱き付く
「姫宮先輩、大丈夫。もうアイツら居ないから
先輩、さっき、オレの名前呼んでくれた?オレ、めっちゃ嬉しかったなぁ~」
さっきの嬉しかったのを反芻するように笑うと、先輩が首に腕を回して抱き付いてきた
「騎士、騎士…やっと、名前で呼べた」
いきなりの事で頭が回らないながらも、自分からもギュッと強く抱きしめ
「ひ、ひめ…ちゃんって、言っちゃダメだよね...」
名前を言った瞬間、驚いたのか少し離れてこちらを見詰めてくる
ついクスッと笑ってしまう、驚いた顔が可愛くて堪らず、思わず鼻にチュッとキスをしてしまい
「入部する前からそうかな?って…ずっと探してたんだ。あの時に約束した好きな子の匂いがするって
でも、子どもの時の約束だし、絶対こんなの覚えてないかな?って」
額を先輩にくっ付けて見つめる
「ひめちゃん、小学生のあの時からずっと好きです。
ひめちゃんが覚えてないかもだけど、ずっとオレのお嫁さんになって欲しくて、ひめちゃんを守れるように空手も逃げずにずっとやってきたんだ」
真っ赤になって、固まってる先輩
いつの間にか、希望は確信に変わり、一世一代の告白のつもりで気持ちを打ち明けてみた
返事が貰えないかもしれないし、拒絶されるかもと不安だったけど、先輩の顔を見るとその不安も消し去られ
「ずっと、ずっと大切にするから、オレの番になってください。オレのお嫁さんはひめちゃんしか考えられないから」
恥ずかしそうに小さく頷く先輩に嬉しさを止めることが出来ず、初めてキスをした
何度も唇を重ね、今までの思いを確かめるように深く口付ける
「騎士、その...俺もずっと、好きで…あの約束は忘れた事、ないから…だから、次のヒートの時に番にして欲しい。夢じゃなかったって、思いたいから」
恥ずかしげに言う先輩に嬉しくなり、今腕の中にいる温もりを噛み締める
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