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赦鶯は感情のない眼差しで凜妃を見下ろした。
「凜妃を捕らえ慎刑司へと送れ。この件に関するすべてのことを吐かせろ!」
陛下の容赦ない言葉に、凜妃は青ざめながら後退する。
「待って! 私は叔母の氷妃さまに命じられただけなの。すべて叔母が仕組んだこと。本当よ。氷妃さまに会わせて! 捕らえるなら叔母も一緒よ!」
泣き叫ぶ凜妃の言葉を遮るようにその声が届いた。
「何を騒いでいるの。花を愛でに来たのだけれど、場が悪かったかしら」
蝋梅の木の陰から、一人の女が現れた。
風が吹けば倒れてしまうのではと思われる華奢な身体に、柳のようなしなやかな仕草。今にも消え入りそうなか細い声。まるで菩薩のような微笑みを浮かべる美しい女性であった。
誰? と蓮花は小声で呟く。しかし、現れた女性の側に控える、二人の女の顔に見覚えがあることに気づき、あ! と声をもらした。
まさしくその二人の女こそ、白蓮の村にやって来て蓮花に占って欲しいと言った人物であった。
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