エピローグ

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「そうだ。村に戻る前に僕の屋敷に寄ってみてはどうだ? 母も会いたがっている」 「そうね。香麗さまにはきちんとご挨拶したいし。いいの?」 「いいも何も、おまえは凌家の人間なのだから遠慮する必要はない。そうだ、しばらく泊まっていくといい。いや、むしろ凌家で暮らしながら、都で薬屋を開くのはどうだ?」  あ、それいいかも! と蓮花はぽんと手を叩いた。 「凌家の後ろ盾があれば、あれこれ便利そうだし、信頼もあるし、都には大勢の人がいるから繁盛しそう。なーんて、あたしには都の空気は合わないから」 「なんなら、僕の妻にならないか? おまえの店を手伝おう。毎日うまいものを食べさせてやる。おまえの好きな菓子もだ」  どさくさにまぎれての一颯の求婚であったが、残念なことに蓮花の耳には入らなかった。しかし、赦鶯は聞き逃さなかった。  ムッとした表情で、一颯を睨みつける。  二人の男の間に見えない火花が散っていた。が、蓮花はそのことに気づかない。 「さて、もう行くよ」 「屋敷まで送ろう」  荷物を背負い歩き出した蓮花の後を、一颯も続いた。 「蓮花」  呼び止める赦鶯の声に、蓮花は振り返った。 「私はおまえをあきらめない。必ずおまえを妃に迎え、貴妃の地位を用意しよう」 「ん、なに? よく聞こえなかったんだけど、なんか言った」 「いや、なんでも」 「そう、じゃあね。もう二度と会うことはないけど、あんたも元気でね。皇后さまを大切にするのよ!」
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