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しがない画家であり画商でもあるAは、古今東西の有名画家の作品の贋作制作を行い、真作と偽って取引していた。
その腕前はプロの鑑定士さえ騙せる程で、贋作を掴まされたと知らずに有名画家の作品を手に入れたと得意顔になっている連中を嘲笑うことが何よりのやりがいであった。
そんなAにはお気に入りの絵画作品があった。それは女神らしき神々しいオーラを放つ美女が絵の中心に描かれ、周囲には数多の星が散りばめられた幻想的な作風であった。
この作品について、題名や作者、制作年代は不明である(ただし、後の科学調査によりキャンバスはここ30年以内のものであることが判明している)。
これは後々に高い価値を生む至宝となるに違いないと感じ、自宅の土蔵に大切に保管していた。
ところが、Aが自宅を空けている時に何者かが土蔵の厳重な扉を破壊してこの絵画を盗んで行った。
これに激怒したAはすぐに警察に被害届を出して絵画の行方を捜査させたが、目ぼしい証拠も残ってなかった為に窃盗犯の足取りが一切掴めないままにただ時間だけが過ぎ去り、半ば迷宮入りしていた。
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