幼馴染の定義

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ハイスペックな隣人とは真逆に舞子はいたって普通である。 容姿も普通 身長も標準 頭も普通 見事に平均点を網羅している自分が、幼馴染として匠の側にいる事がよく思われないのは今に始まった事ではない。 中学生の頃は嫌がらせもされたし文句も沢山言われた。 だから離れようとしたのだ。匠から。 だが、舞子が少し距離を取ろうとすると匠は必ず言うのだ「舞、変な事考えるなよ。お前は俺の側にずっといるんだろ?」と。 幼い頃、匠の母親が病気になり大きな手術をした。そのため退院するまで我が家で匠を預かった事があった。 舞子も舞子の両親も「大丈夫だよ」といつも匠に声をかけ不安にならないように側にいたが、匠は全くご飯を食べようとせず次第に元気がなくなり始めた。 当時まだ5歳くらいだ。 母親がいない事が子供にとっては恐怖だったのだろう。 だから、舞子は励ますつもりで匠に言ったのだ。 「ずっと匠の側にいるよ。寂しくないよ」と。 それが幼い時の刷り込みになってしまったのか、高校三年生になる今までずっと匠は舞子の側を離れようとはしない。 でも、舞子も辛いのだ。 自分が相応しくないのは分かっている。 匠にはもっと可愛くて皆が納得する人が側にいるべきなんだ。 だから、自分の本当の気持ちは押し殺して匠から離れるため嘘をついた。 好きな人が出来たから匠の側にはいられない。と
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