46人が本棚に入れています
本棚に追加
「坂崎君、好きです。付き合って下さい」
相手は学園一の美少女だとバスケ部の奴らがやたら騒いでいた女を目の前にして匠はため息をついた。
面倒くさい。
その一言につきる。
「無理」
完結に終わらせるべく相手に告げて去ろうと向きを変える。
「え?ちょっと待って!何で?」
何で?
何でも何も、お前の事なんて一ミリも興味ないし時間の無駄なんだよ。
そんな事を思いつつ相手の女を見る。
匠が何も言わないのに痺れを切らし女はツラツラと話を始めた。
いつも一緒にいるのは単なる幼馴染でしょ?
彼女は坂崎君には合わないんじゃないかな。
だって普通じゃない。彼女。
相手の話を聞きながら巧みは彼女の近くに戻り耳元で囁いた。
「舞の事をこれ以上悪く言ったら、お前の顔を潰すよ」
そう母親ゆずりの美しい笑みを浮かべて微笑んだ。
あまりに不気味な雰囲気に相手も呑まれたのか、その場から走り去って行った。
匠にとって舞子は特別なのだ。
好きなんて軽々しいものではない。
舞子の周りにいる奴らが邪魔だし、本当なら部屋に閉じ込めて一日中眺めていたいくらいだ。
だから、バスケの強豪校からスカウトがきた時も迷いなく断り高校まで舞子の側を死守している。
匠はずっと舞子の側にいたい。
ずっと。
なのに、目の前の彼女は匠に恐ろしい事を告げるのだ。
好きな人ができた。と
最初のコメントを投稿しよう!