幼馴染の定義

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「やっぱりな。捕まっちゃったか」 バスケ部の部員数名が教室の端からそっと中にいる匠達を伺っている。 部活に行くべく数名で伴って廊下を歩いていた際に教室に入る匠を見かけ、盗み見ならぬ盗み聞きをして今に至る。 舞子に対する並々ならぬ匠の異常なまでの執着を知っている彼らからすると、やっぱりな。の結果なのだ。 基本的にバスケ部は夜7時までの活動時間だが、匠は毎回30分は早く上がる。 顧問に舐めてんのか!と言われた際には、じゃあ辞めます。と呆気なく去ろうとするのを部員全員で必死に止めたくらいだ。 エースに抜けられたらたまったもんじゃない。 顧問も辞められては困るので渋々了承したくらいだ。 早く上がる理由。 吹奏楽部である小岩井舞子と一緒に帰るためだ。 それ以外にも、昼飯はバスケ部皆で食べるのが恒例だが、匠は小岩井の元へ向かう。 彼女と食べないと味がしないのだとか。 いつだったか小岩井が吹奏楽部の部長と楽しそうにしている姿を見た時の鬼気迫る匠のオーラと顔つきに部員全員が引いたくらいだ。 いつだって匠は小岩井中心に世界が廻っている。それがバスケ部員の印象だった故に、目の前で繰り広げられているイチャイチャぶりは、あぁ〜捕まっちゃったか。なのである。 バスケ部の安泰のためにも、ぜひとも匠から離れないでくれ。と部員達は祈りつつその場を後にした。
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