全てのはじまり

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その間にお酒とおつまみの準備。右手のピンキーリングを見ると自然と口角が上がる。 「ちょ、ちょ、あんたまさかその男の家に行くつもり!?」 「行かないよ」 家にはな。 「え、そうなの!?」 「うん」 「そうよね!司は身持ちの固い女だもの!それより聞いて!私のマイスイート楓に近付く女がいるのよ!」 「遠野に?」 「そう!今度会う事になってるからけちょんけちょんにしてやるわ!」 マイスイート楓とは、全国展開する洋菓子チェーン店トオノの新人社長遠野楓(とおのかえで)の事である。菫の小学校からの同級生&大本命の相手(小学生の頃バッサリ振られている)だ。 私とも高校大学の同級生だから会えば普通に会話はする。けれど遠野も菫同様ビックリする位綺麗な人だ。近寄りがたい雰囲気はあるものの話すとそうでもない。 「遠野、しばらく彼女いなかったよね」 「元カノが浮気したせいよ。それに仕事が楽しくてしょうがないみたい」 「良いことだよね、でも遠野みたいな人でも浮気されるなんて」 確か遠距離で彼女の方が寂しくなったんだっけ。 「っ、ほんっっとにあの女は呪ってやりたいくらい憎い!私だったら絶対に浮気なんてしないのに!」 「はいはい、落ち着いて。ポテトサラダと菫の好きな梅酒」 「……ありがと」 菫の隣に座ってコツン、と小さく乾杯をした。
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