全てのはじまり

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「別件だけど、再来週私の実家で新刊の出版記念パーティーやるから来なさいよ」 「え、菫の実家で?」 「そうそう。ま、十五人くらいの小規模なものだから準備を手伝って欲しいの」 「それは構わないけど……」 菫の家族、皆キャラ濃いんだよなぁ。 お父さんは直川賞を受賞してる大人気小説家でお母さんは元俳優。 お姉さんと弟も俳優とモデルをやってる芸能一家である。 「けど、何よ。良い男しか来ないから出会いあるわよ」 「え~、菫の知り合いとは付き合いたくない」 「どうして?」 「色々口出されそう」 その光景が簡単に目に浮かぶ。 「そりゃ出すわよ!司は親友だもの!」 「私の事より自分の事でしょ。沙織ちゃん何とかして」 「冷たい!久しぶりに会えたっていうのに」 「はいはい。梅酒の他にも菫の好きな日本酒も用意してるよ」 「司!愛してるわ!」 ぎゅー、と菫に抱きしめられる。 相変わらず良い匂いがして案外華奢ではない。 「今日は飲むわよ!寝かせないわ!」 「いや寝る」 私は明日も仕事である。
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