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翌朝。
目覚ましが鳴る前、六時に起床。
昔から朝は強く今まで寝過ごした事や遅刻をした事はない。
帰国して疲れている菫にベッドを譲り、私はお客様用の布団で寝ていた。
「……」
菫は疲れからか死んだように眠っている。
誇張ではなく白雪姫みたい。肌は綺麗だし睫毛長いし髪もツヤツヤだし。不老不死の薬でも飲んでるんじゃないだろうか……。
「ん、」
パチ、と半分目蓋が開いた菫と目が合う。
「……朝食は鰹節で出汁を取ったお味噌汁と甘めの玉子焼きとほうれん草のおひたしが良いわ」
「ここは旅館じゃないんですけど?」
とは言いつつも。帰国すると絶対その朝食メニューをリクエストされるから作りますとも。材料買ってありますとも。
「え~、私の寝顔をタダで見たんだから良いでしょー」
「はいはい、そーですね」
昨夜はあんなにお酒を飲んでたのに二日酔いをしてる姿を見た事がない。
「あとさ今日もうちに泊まるの?実家帰る?」
「帰りたくない」
「え」
まさか家族と喧嘩でもした?
個性のぶつかり合いファミリーだからな。
「面倒くさいんだもの。荷物も多いし」
「そっちか」
「ま、それは半分ウソ」
菫は欠伸をしながら布団から起き上がる。
「昨日のメッセージカードの事もあるし、三日位はいるわ。何かあれば守るから安心して」
「……ありがとう」
こういう所は、昔からカッコイイんだよね。
そして眠そうに目をこすってソファに座る。
「司、ほうじ茶」
「だからここは旅館じゃない」
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