全てのはじまり

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◆◆◆◆ 菫に見送られて職場のスーパーまでの道を歩く。 通勤時間は徒歩十五分。良い運動である。大学四年間はずっとそこでバイトをしてそのまま就職した。 お母さんには折角大学まで出たのに……と少し残念がられたものの特にやりたいこともなかったし、店長もパートのおばちゃんも良い人だから何も後悔はしていない。個人経営の小さなスーパーだけど私には合ってる。 多分、結婚して引っ越すとか環境が変わらない限り辞める事はないと思う。 自分一人食べていける給料は頂いてるから問題もない。 『夕飯は私が愛情を込めてハンバーグを作るから楽しみにしてなさいよ~』 見送りの時に菫に言われた言葉が頭の中をグルグルしている。普段自炊はほとんどしないのに、帰国して私の家に泊まる時だけご飯を作ってくれる。 大丈夫とは思うけど、指を切らないか心配だ。 連載の他にも、雑誌にコラムを掲載してたり本当にいつも忙しい(何故かそうは見えないけど)から怪我してコストパフォーマンスが落ちるなんてあったらいけない。 ……って前にも遠野(菫の大本命)に過保護過ぎ、菫の言う事ききすぎって注意されてるのに私ったら。 いい加減にしないと婚期を逃しそうだ。
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