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「今日の放課後!連れて行きたい所があるから時間ちょうだい」
「やだ」
私と一緒にいる事で南条君に迷惑かけたくない。
「やだ、じゃないの!どうせ暇でしょ!」
「失礼な。まあ暇だけど」
家に帰ってダラダラする用事しかない。
「ほんのちょっとだけ生徒会の仕事があるから教室で待ってて!」
私は無言で頷く。断ったら面倒くさそうだ。
「南条君て、変な人」
「ふ。そっくりそのままあんたに返すわ」
「私は普通だよ」
今だって、南条君と話してる事実にドギマギしてる。
「普通なんて一番つまらないじゃない。変わってる、は個性でしょ」
個性の塊のような人にそんな事を言われると何も言い返せない。
「とりあえず放課後!待っててよ」
「……はい」
どこに連れて行かれるのか不安しかない。
一日中胃がキリキリしていたものの、放課後はすぐ来てしまった。
誰もいない教室で南条君を待つ。
これ、南条君の事が好きならかなりドキドキするシチュエーションだろうけど、私のドキドキは今から刑務所に連れて行かれるようなドキドキである。
心臓が汗をかいてる。
さっきも何とか喋っていたけど内心はバクバクしていた。この二年間、同級生とまともに会話した事なんてなかったから。
「……」
それにしても遅くないか。
かれこれ三十分以上は待たされてる。
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