おしぼりをどうぞ

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高鳴った、のだけれども。 菫には綺麗な幼なじみがいるってすぐ分かった。この前たまたま廊下で喋っているのを見かけたけど、私と一緒にいる時とは違うすごく優しい表情をしていた。 それにとてもお似合いだと思う。 「言っておくけど、沙織とは付き合ってないわよ」 「……へ」 思わず食べていたクレープを落としそうになる。 「?気になってたんじゃないの。この前沙織の名前を出してやっぱやめた、って言うし」 「いや、どうだろ」 菫とはあれからよく一緒にいるけど、感覚は女友達に近い。今日も放課後ブラブラしていた。 「どうだろって何?」 「付き合ってても、付き合ってなくても別に私と菫の関係は変わらないなって」 「そりゃそうだけど、司……私の事好きにならないの?」 「うん」 振り向いてもらえないのが分かりきってるのに好きにはならない。 「自信なくすわ~。顔がタイプじゃないとか?」 「菫以上に綺麗な人、見た事ないよ」 「あ、……あっ、そう!なら性格?ちょっと鬱陶しい?」 「全然。慣れもあるけどハッキリしてて好きだよ」 「でも、恋愛感情はない。と?」 「あったら困るクセに」 「まあね」 菫はふ、と笑って立ち上がる。 「ねぇ、今年の文化祭のミスコンとミスターコン、私達で出ない?」 「は、ぁ?」 「付き合ってよ、私の思い出作りに」 「菫は出られるだろうけど、私は絶対無理」 何を言い出すかと思えばまた突拍子のないことを。 「無理じゃないわ。うちのクラスの芋男子に比べたらずっと司の方がイケメンよ」 「?」 うちのクラスの芋男子? 「楓が同じクラスだったら楓と出たかったけど、」 「?ちょっと待って話が見えない。菫がミスターコンに出るんだよね?」 「違うわ!私が出るのはミスコンの方!キラッキラのドレスを着るから、司にはエスコートしてもらいたいの!」 「!?」 ピシャーンと私の頭に雷が落ちる。
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