おしぼりをどうぞ

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「……」 キラキラのドレスを着て、自信に満ち溢れた菫をエスコートする地味な私。想像しただけで……。 「苦行でしかない」 頭が痛くなってくる。 「そんな事ないわよ!絶対楽しい」 「菫はね。私は表舞台に立つタイプじゃないよ」 「なら一回くらい立ちましょうよ!」 「……菫が良くてもクラスの皆が賛成しないと思う」 前より見た目に気を使うようになって、挨拶くらいはするけどそんなに話す訳じゃないし。 「なら、賛成を得られれば良いのよね?」 「菫がミスコンの方に出るのだって賛成が必要でしょ」 「それは大丈夫よ」 「?」 菫はゴソゴソとカバンからファイルを取り出す。 「実はもう司以外の皆にはアンケートを取ったの」 「!?」 い、いつの間に。 「見て!クラス全員私がミスコンに出る事、司がミスターコンに出る事に賛成してくれたわ!」 私はファイルを受け取り、恐る恐る開く。 そこには……。 『これぞ何でもアリの文化祭!賛成!』 『うちの生徒会長は相変わらずぶっ飛んでるけど、応援する』 『寺本さん、頑張って』 『南条に付き合えるのは寺本さんだけだと思う』 『賛成だけど寺本さんは大変そう……』等々。 クラスの皆からの温かい(?)コメントに溢れていた。これ……何だか憐れみの視線を向けられているような気がしないでもない。 「ちなみに先生達にも許可は既に取ってあるわ」 「外堀埋められてない?」 菫は意地が悪そうに笑う。 「私が何のために生徒会長やって、成績もトップでいるか分かる?」 「そんなの、自分の意見を通す為でしょ」 「そう。自由を得るには実力も必要なのよ」 「……なんで私なの」 わざわざ私じゃなくても、磨けば光りそうな男子は結構いると思う。 「私ね、まだ入学したての高一の時、当時から男女共にモテてたから先輩に屋上に呼び出されたのよ」 よく分からない話が始まったものの、黙って聞く。
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