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毎日のスキンケアにストレッチに休日は菫とウォーキング……。
「今は五月!文化祭まで半年もないのよ!最高のコンディションで望まないと!」
「……はい」
美は一日して成らず。菫みたいな美人もここまで努力していたなんて。
「来月は衣装の採寸もあるから、よろしくね」
私は大きく頷いた。来月までにちょっとでも痩せていたい。菫にバランスの良い食事メニューをもらってから何となく調子も良い気がする。
「しかしながら私達は学生。受験生だし勉強が本分よ」
「うん」
五月に入ってからは、菫と放課後図書室で一時間勉強するのが日課になっている。本当にいつも忙しそうでちゃんと寝てるのかな。
「司、第一志望はどこなの?」
「まだ悩んでるけど一応H大。菫は?」
「T大よ」
「だよね」
うちは進学校だけど、T大狙えるのは本当に凄い。
「司もT大にしましょうよ。もう少し頑張れば全然狙えるでしょ?」
「えー、でもそんなに勉強したくないしな。今のレベルで行ける所が良いよ」
「今頑張らなくていつ頑張るのよ?十年後やっぱりもっと勉強しとけば良かったって思うわ。大人になっても勉強は出来るけど、仕事してたり集中出来る環境じゃないかもしれない。絶対に今頑張るべきなのよ」
「……そんな事言われたら頑張るしかないじゃん」
本当に同い年なの?先生みたい。
「それに、私と一緒のキャンパスライフは最高に楽しいわ!」
「そうだね。菫先生、ここ分かりません」
「どこ?」
勉強は嫌いじゃないけど、コテコテの文系の私は数学が苦手だ。数字を見るだけで嫌になってくる。
「ああ、これはこの公式を使って……」
「……」
夕陽が射し込む図書室。うつむき加減の菫の表情が凄く綺麗に見えた。
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