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「……」
私が黙ってしまうと、空気が重くなる。
付き合って下さいって言われた事自体は嬉しいのに。
「林君、私」
「やっぱり南条の事が好き?」
「え?」
「いつも一緒にいるから、そうなのかなって」
「……林君から見て私は菫が好きに見えるんだ」
自分では至って普通だと思っていたけど。
「あ、いや!そういうわけではなく!寺本さんずっと一人だったのに三年になってからは南条といるから。それだけ」
「そっか。返事はちょっと保留でも良い?」
返事をする前にどうしても菫と話したい。
自分の気持ちがどこにあるのか確認しなきゃいけない。
「全然、大丈夫。むしろ振られると思ってた」
「それなのに告白したの?」
「うん。後悔したくなくて。もし良かったらこの後文化祭も一緒にまわらない?」
「いいよ」
菫と約束はしてない。多分遠野君とまわるだろうし。
「!い、いいの?」
「私とまわっても楽しくないかもしれないけど」
林君はぶんぶんと首を振って、その場に座り込む。
「?大丈夫」
「あ、や、その嬉しくて」
「……」
林君は真っ赤になった顔を両手で隠している。
本当に私の事好きなんだ……趣味が悪い。
「……あと一つだけ良い?」
「うん。なに?」
「俺の名前、林じゃなくて小林です」
「!!」
小林君は趣味が、悪い。
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