おしぼりをどうぞ

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その後、小林君とは色んな事を話した。 部活の事(バスケ部だった)、今ハマってる音楽の事、好きな食べ物、家族の事。 良い意味で凄く普通の人で、菫とは全然違う。 私の言った事に対して、うんうん、と優しく頷いてくれる人。 「あ、あれ南条じゃない?」 「……」 一緒にいるのは遠野君ではなく、沙織ちゃんだ。 さっき一応小林君と文化祭をまわるって連絡したけど返信はない。二人は楽しそうに会話をしながら階段を下りて行った。 「ほんと、美男美女でお似合い」 幼なじみで、くっつくことが決まってる二人って感じ。 「美女って宮野さんのこと?」 「うん」 ぱっちり二重でスタイルも良くて誰が見たって可愛いと思う。 「そうかな?寺本さんも負けてないと思う」 「……は」 「というより俺は寺本さんの方が良いと思う!」 「こ、小林君、目を覚まして」 「本当だよ?」 「……」 カッと頬の温度が上がる。 男子にそんな事言われたの、初めてかもしれない。 「あの、」 とりあえずお礼。お礼言わなきゃ。 「ありが」 「小林、申し訳ないけどちょっと司借りるわ」 「!」 突然グ、と後ろに手を引かれ思わずフラつくものの、声の主はそんな私を気にかける事なく歩き始めた。 「菫!?」 「ごめん、少し二人で話したい」 菫はこちらを全く見ようとしない。小林君にすぐ戻るねーと叫ぶと、菫は歩く速度を上げた。それより沙織ちゃんは大丈夫だろうか。 だけど私も菫と話したかったらちょうど良い。連れて来られたのは誰もいない屋上だった。
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