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部屋に入るとビックリする位広くて綺麗で驚いた。眺めも良いしオフィスというよりは高いホテルの一室のよう。一つ一つの家具もこだわりを持って選んでいるのが分かる。
中央に大きなテーブルと椅子があるからここで会議もするのかな?壁際には三台のデスクトップパソコンがある。
「悠成が使っていたパソコンはどれ?」
「一番右のパソコンです。左二台は全員が使える共用パソコンですが右のだけは悠成さんが自分用に買ったもので司さんの写真もそのデスクの引き出しに入ってたんです」
「そう。パスワードに心当たりは?」
「……全くありません。俺も悠成さんの仕事の手伝いで何度かここに来た事はありますがパスワードを入力する姿なんて気にしませんから」
「ま、そうよね。知ってる方が怖いわ」
言うと同時に菫はキーボードを叩き始める。
「分かるの?」
「まさか。今は適当に使用率の高いパスワードを当てずっぽうで入れてるだけ。ちなみに123456が一番なのよ。まあ悠成は絶対そんなパスワード使ってないでしょうけど」
「私もそう思う。じゃあどうするの?」
菫は自分のカバンからUSBメモリを取り出した。
「ま、これで何とか出来るから」
「それなに?」
「知らない方が良いわよ。ただ時間が少しかかるから他の部屋を探してて」
「分かった」
「南条さん、すごいですね。俺はパソコン全然分からないので」
「得手不得手はあるものよ。私の場合は単純に好きなの」
「へー、そうなんですね」
菫は高校生の頃からジャンクのパソコンを買って中を開けてみたり、自作PCを作っていた。マザーボード?がなんちゃら光学ドライブ?がうんたらかんたら……私にはサッパリ分からなかった。
ここは菫に任せて別の部屋を探そう。
隣の部屋のドアを開けると、寝室?になっていてダブルベッドが置かれている。
まさかとは思うけどここに女性を連れ込んだりとかしてないよね?でもただの仮眠室として使うならこのサイズのベッドはいらないような。
「ここに女性は連れ込んでませんよ」
「!」
突然後ろから神楽の声がしてビク、と肩が跳ねた。
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