66人が本棚に入れています
本棚に追加
/117ページ
「ど、どうしたの?」
「いえ、一緒に探した方が見落としないかなって」
「……そう」
「ちなみにこのオフィス、女性の連れ込みは絶対禁止なので」
「え、私入って大丈夫だった?」
「そういうことしなければ大丈夫ですよ。ハウスキーパーさんも女性ですし」
「はは」
なら絶対大丈夫だ。
「この部屋は見た通りただのベッドルームなので何もないと思うんですけどね」
「いや、何もないと思う所に手がかりはあったりするんじゃないの?」
「確かに。俺はこっちの棚を見るので司さんはベッドサイドを確認して下さい」
「了解」
とは言ったものの、特に気になるような物はないかな。会長の趣味なのかオシャレな猫の置物があるくらいだ。不意にそれを手に取るとピキ!!とした痛みが腕に走る。
「っ、つ、っ!!?」
やば、つったかもしれない。
立っていられずその場に座り込む。
「!司さん、どうしました」
「う、腕がつっただけ……だから大丈夫」
嘘。めちゃくちゃ痛い。
「とりあえずベッドに座って下さい。立てますか?」
「う、うん」
神楽に支えてもらってベッドに座る。い、痛みで腕が動かせない。神楽は私の隣に座ってつった腕を優しくさすってくれた。
「辛かったら俺の方に寄りかかって下さい」
「そ、れは大丈夫。介護させてごめん」
「介護って。何言ってるんですか」
さすってもらったおかげか痛みは少し引いてきた。日頃の運動不足かはたまた年のせいか……。
「あの、ありがとう」
「どういたしまして。役得ですよ」
神楽は優しいな。きっと自分の姫も大事にしてるんだろうな。
最初のコメントを投稿しよう!