83人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◆◆◆
適当な居酒屋に入り、何時間一人で飲んでいたのか。
元々そこまで強くないから頭が既にズキズキするし、体はどことなくふわふわしている。
幸いな事に今日、明日仕事は休み。
こんなに思いっきり飲んだのは久々だ。
何となく歩きたい気分だったから歩いているけど、家までは多分三十分以上はかかる。
近くにあった公園の自販機で水を買って、年甲斐もなくブランコに座る。
「……」
菫は……間違いなく私にとって大事な人だ。
たくさん、たくさん思い出もある。辛い時、楽しい時いつも傍にいてくれた。
……でも。私は選ばれなかった。
それが事実で、現実で。好きと言われて嬉しい気持ちもあるのに惨めに感じた。
ポタ。
水滴が、手の甲に落ちる。
なんだやっぱり十代の頃と変わってないじゃないか。覚えたのは強がりだけか。ゴシゴシと強く目をこすった時。
「泣いてるの?」
男の人に、声をかけられた。ナンパ?
生まれてからナンパなんてほとんどされた事ないけどよりによって今日?
「こすると目が腫れるよ」
「……あ、大丈夫です」
男性の顔を確認すると、思わず持っていたペットボトルの水を落とす。私は食い入るようにその顔を見てしまう。
だって。
「大丈夫じゃないよね」
だって、貴方は。
「悠、成?」
最初のコメントを投稿しよう!