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外の冷たい空気が嘘みたいに、家の中は暖房のおかげで暖かい。
ふと窓辺で大和がジッと外を見ている。
「大和? どうしたの?」
声をかけると、こちらを見た大和の首飾りが、外の光を受けてきらりと輝いた。ワタシたちの唯一おそろいのものだ。
「年々、派手になっていくなと思ってね」
目線の先にあるのは、お隣の庭のイルミネーション。そういえば昨日、せっせと準備していたっけ。
最初はシンプルだったけれど、楽しくなった奥様が毎年買い足しているそうで、今となってはこの辺りではひと際輝く景色となっている。
「いいじゃない。綺麗だし、楽しい気分になるし。クリスマスって感じがするわよね」
「クリスマスか。ボクらが出会ってからもう五年になるんだね」
「はやいわよね。最初はどんなヤツかと思ったけど。あなたが優しくてよかったわ。正直目つきが怖かったのよ」
「それを言うならキミだって警戒心最大で、なかなか心開いてくれなかったじゃないか」
「そりゃあそうでしょ。あの頃のワタシ、弱ってたんだし」
「そうだね」
慰めるように身体を寄せて、温めてくれる。本当、優しいんだから。
「真白、この家に来てくれてありがとう。ボクの奥さんになってくれて、ありがとう」
「それ、クリスマスに絶対言ってくれるのね」
「記念日だからね」
「嬉しい。ワタシもあなたと一緒になれてよかったわ。この家に迎えられてよかった」
こんなに暖かい部屋にいられるのも。心からぽかぽかと温かくなるのも。この家にきてから知った事。
「これからもよろしくね」
「こちらこそ」
**********
「あ、大和と真白……っと、寝てる、かな」
「だね。寄り添って丸まって。可愛いなぁ、二匹とも」
「好きだよね、このコたち、イルミネーション。飽きずにずっと見てるの」
「で、そのまま寝ちゃうんだよね。可愛いけど窓際は冷えるからね」
夢うつつで優しい声が聞こえた。ゆらゆらと心地いい揺れを感じたかと思えば、柔らかい感触の上に乗せられた。この匂いは、いつものベッドだ。寝ぼけ眼で気配を探れば、隣に大和もいる。
すりすりと大和に近寄れば、優しく毛づくろいしてくれた。
やっぱりワタシの旦那さんは世界一優しい。ぬくもりと優しさに包まれたまま、ワタシはまた眠りに落ちていく。
これからもずっと大好きよ。
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