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後日、会社宛に手紙が届いた。
『先日は大変お世話になりました。小さいながらアパートを見つけ、落ち着く事ができました。
電車での事故と聞き、恐ろしくて会いたくないと思っていました。でも想像していたよりもとても綺麗で、普通で、安心しました。
最期くらいどんな姿であろうと会ってあげなければいけないのに。私は妻失格です。
最期に会う事ができたのも貴社のおかげです。ありがとうございました。
会社を辞めたいと主人はときおりこぼしていました。でも子どもを大学へ行かせたい、今の生活を維持したいという思いが先行し、頑張ってと励ましてしまいました。それが尚更主人を追い詰めてしまったのでしょう。全て私の責任です。
大きな会社に勤めているエリートサラリーマンという肩書にひかれ結婚しました。主人が大変な思いで働いている中、ショッピングや食事会などで気楽に過ごしていました。その報いが来たのだと思います。
やっと楽になれた主人の代わりに今度は私が頑張ります。大変でしょうが、その辛さを主人も味わったのだと思うと主人が側にいるような気がします。ずっとすれ違い夫婦でしたが、やっとひとつになれた気がします。
貴社のますますのご活躍をお祈りいたします。
感謝を込めて
かしこ』
〈終〉
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