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大人しめの女の子、村山真奈(むらやま まな)ちゃん。
なんと初恋なんだけど、相手の男の子が誰なのかわからない。
と、いうのだ。
「いつも登校中に川原に座ってるの。
黒いランドセルを草むらに置いて、ノートに何か書いてる。
うちのクラスの子じゃないから、6年生か下の学年かな?
とにかく横顔を見てるとドキドキするのっ!恋だよ恋っ!」
黒髪を綺麗なボブにカットしてる真奈ちゃんが両手に頬を当てて
自分で言って、自分で照れている。
「それで、それで、誰かに相談したいけど、恥ずかしくて~っ!
夏野さんは転校したばかりだから、ちょっと言いやすいかな?って。
それに、いつも積極的だから、なんでも聞いてくれそうで。
あ、委員長にも知られちゃった。お願い、このことはナイショね!」
とりあえず。
本当に恋に溺れて宿題もしてこなくて、給食まで食べなかった彼女。
私たちは給食の残り物を探してきて、彼女に渡して、どうにか
コッペパンとパック牛乳と、唐揚げ2個を食べさせた。
「わかった、私もナイショにする。
むしろ、那由多に用だったのにゴメンね......」
こういうところは、まだ、私は少し、うらやましい。
那由多のおかげで周囲が変わりつつあっても、私はカタブツのままだ。
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