小学生、そして事件。

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「名前までは、わからない。 とにかくずっと以前、たぶん、私たちが小学校に入学するより、 もっと前の子。 いつも川原にいる。黒いランドセルを置いて、ノートに何かを 書いている。学校ではなく川原でしか見かけない。 だからって不登校なわけじゃない。 あれは......死んでしまった男の子。そうだよね?那由多」 下校中に通らない川原へ那由多と行ってみた。 男の子は、居た。 「うん、死んじゃった子だね。 真奈ちゃんは霊感があるわけじゃないんだよね?」 「うん、無いよ。 ただ、あの男の子は真奈ちゃんの好みのタイプなんだよね。 そこが気になる。 あの子、面食いっていうか、芸能人とかアニメのキャラとか、 綺麗系にハマるんだよ。 これは推測なんだけど、好みだから見えちゃった?あるかな?」 「そっかぁ、ありえると思う。多感な成長期において、 綺麗な存在を欲しがる子が、霊をみつけちゃった」 「那由多がそう感じるなら、そうなのかな? 私より那由多のほうが頼りになるもん。 真奈ちゃんが相談したくなったのわかる気がする」 「ちょっと、円、ひねくれ感が出てるぞ? あのね、2人で聞いたのが正解! あたしは、この辺の川原とか知らなかったし、 真奈ちゃんのことも円が詳しくて助かったんだよっ」 「あ、う、うん」 はい『那由多みたいになれない病』を、こじらせてます。 そして別の意味でこじれてる恋の相手。 何かしらの理由で死んでしまった彼は、確かに美少年だった。 白く細い手足、綺麗な白いシャツに黒い半ズボン、サラサラの髪。 憂いを帯びた横顔に長いまつ毛が影を落としていた。
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