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「先生、いちばん後ろの席に、パンツしかはいてないオジサンがいて
気持ち悪いです」
見えている幽霊をそのまま告げたら、教師どころかクラスの連中にも
信じてもらえなかった。
しかも教師には怒られた。
それが小学校3年生のときの話し。
それでも、見えると落ち着かないので『ほんとにいるんです!』と
食い下がったら、学校へと両親が呼びだされてしまった。
私が精神的な異常があるのではないか?という意味で。
それで住んでるところが田舎町なので、隣の市の大きな病院で検査を
受けたほうがいいとか、かなりめんどい事態へと発展していったので、
もうあきらめて『勉強がつらくてウソをつきました。ごめんなさい』
そう言って、事をまとめた。
「これ以上、言い続けるなら......東京の有名な霊媒師さんのところに
相談しようかと思ったわ」
元からホラーものが苦手な母が泣きながら言った。
「おまえ、勉強はできるんだから悩んでるなんて気づかなかったよ。
こっちこそゴメンな」
怒ったことが一度もない父が笑いながら言った。
気が小さい母と、気が大らかな父。
だからこそ夫婦円満で家庭環境は平和だった。
幼少時から幽霊が見えることは自覚していたけれど、この一件から
私は学んだ。
霊感があることは隠し続けていくべきだと。
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