小学生、そして出会い。

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小学四年になって教室が変わった。 そして三年のときの教室には、パンツのオジサンはいなくなってた。 あの人は、なんだったんだろう? 私は、成長するにつれて幽霊がもっと見えるようになっていった。 視力が落ちてメガネをかけるようになってから、更に明確に。   とある日に、横断歩道を渡るときに重そうな風呂敷を両手で抱えて フラフラしているおばあちゃんがいた。 歩く速度からして、信号が変わるまでに渡り切れそうになくて、おもわず 『それ持ちます』と、風呂敷包みを両手で受け取って、2人して早足で 歩いたら、ギリギリで信号が赤になった。 「ありがとうね、お嬢ちゃん。やっと、やっと......信号が渡れたわ」 私から風呂敷包みを受け取り、穏やかに微笑んで目には涙をためて。 おばあちゃんは消えた。 私はそのとき......怖いというよりも。 モノに触れるんだ?と、そっちのほうに驚いていた。 山の中にある小さな町で、小学校も中学校も1つ。   そして山をひとつ超えた先にあるМ市が、私たちにとっては 『街』って感じだ。 バスで15分くらいの近さなので、高校はМ市にしようと思ってる。 だけど、市には行きたくないなあ......と、まだ小学生にして私は 憂鬱になったりしていた。 人が多いと、霊も多いから。 いま住んでいる町で、幽霊が見えることには慣れてしまった。 特に怖くはない、誰も何もしてこないから。 普通にすれちがったり、いつも同じ場所にいたり、それだけ。 声をかけられるときは稀で、それでも襲い掛かってくるような 危険なタイプはいない。 でもМ市だと、どうなんだろう? 普通に遊びに行く場所では、それほどいるわけじゃない。 でも街の生活範囲のなかに何かしらの不気味さは感じてる。 そんな心配をしながら小学六年生になったとき、救世主が出現した。 小学六年の入学式と同時に、彼女は東京から転校してきたのだ。 ショートカットで目が切れ長で、カッコイイ系の美少女だった。 そして定番の、黒板に自身の名前を書くというパフォーマンスを 教師に言われて、彼女はキリッとした顔立ちが急に崩れた。
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