小学生、そして出会い。

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那由多の家は、古い家の立ち並ぶなかで、洋風の一軒建てだ。 ずっと空き家だったのをリフォームして住んでいる。 そして私は、立派な洒落た玄関に入って緊張していたけど、那由多が 強引に家に連れてきた理由がわかった。 俳優と女優かとおもうほど美男美女の那由多の両親は、変質者を 私が退治したと那由多に説明されて顔を歪ませたからだ。 父親はその場に膝をついて泣き始め、母親のほうは膝をついて 私を抱きしめて『ありがとう!ありがとう!』と、繰り返してきた。 それから夕飯をご馳走したいと那由多の両親に言われて、那由多の母親は 私の自宅に電話までした。 「はい、もちろん遅くならないうちに家まで送り届けます。 それから、そちらにも改めて、お礼に伺わせていただきます」 え?そんなに? まあ、幽霊っていうか『変質者から娘さんが娘を助けてくれた』 と、伝えたら、そうなるかな。 だけどそれは、私が想像していた以上だった。 少女趣味の性癖のある幽霊は、那由多の霊力の強さと美しさに魅かれて 半年間もストーカーしていたのだ。 「お母さんが説得してもダメで、ほんとに困ってたの。 お父さんは除霊のほうの力は無いし」 那由多の母親に食べたいものをリクエストされて『甘いカレーライス』 と、つい私が言ったせいで、母親は買い物に出かけて行った。   那由他と、那由多の父親と3人で、居間のソファーに座ってて センターテーブルにはクッキーとホットココアが置かれている。 甘いカレーと言ったせいで甘党と思われたかな?いや、それ以前に もっと引っかかることを言われたような。 「あの、夏野さん?あなたの、お父さんとお母さんも、もしかして......」 「うん、うちは霊感家族だよ。 お母さんは霊と対話して簡単な除霊ならできるの。 でね、お父さんは霊視ができるの。それでね、あたしは2人よりも 力がもっと強いんだよ。 でもねぇ、あの変質者は悪霊化してて、あたしの力でも無理だったの」 なにそれ情報量が追いつかない!
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