ひとつ布団の中で

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「ねぇ純ちゃん、眠るまで手を繋いでてもらってもいい?」 「いいよ、もしかして美緒ちゃん家でもそうなの?」 「違うよ、家では一人で眠れるもん。でも今日はさ」 「わかった、今日は興奮してるんだね、なんてったって修学旅行だもんね」 「うん、まぁね」  並べた布団から手を出して、しっかりと握ってくれている。 「ねぇ美緒ちゃん、そっち入ってもいい?」 「ふぇ? そっちって、こっち?」 「うん、手だけ出してると冷たくなるかなって思って」 「い、いいよ」 「あ、ちょっとだけ狭いね。美緒ちゃんこうしよう」 「うっ」 「どうした、苦しい?」 「ううん、大丈夫」  好きな子に抱きつかれて心が張り裂けそうで苦しいの、とは言えない。 「あれ、なんか熱いよ。熱でもある? 美緒ちゃん風邪ひいた?」 「純ちゃん、違うから」 「ほんとに?」 「あのね、熱いのはね」 「うん」 「純ちゃんのことが好きだからなの」 「好き?」 「うん」  周りにクラスメイトも寝ているから、元々小声で話していたけど、さらに小さな声で頷いた。 「そっか、病気じゃないんだね。良かった」  抱きしめられたまま、無邪気な笑顔を向けられた修学旅行の夜。
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