【完結】氷室一真と云う男

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「おんどりゃー! いつまで寝てやがんだ! このクソガキ! 学校に遅れるじゃねえか! さっさと起きろ!」 氷室一真は、そう、大声で言って、中学一年生になる娘のサトリが包まっている布団を引きはがした。 「なにすんの?! このクソ親父! 寒いじゃないの!」 サトリも負けてはいない。 「クソ親父だとお~! てめえ、誰に向かって言ってんだ?! オレは天下の『氷室一真』だぞ。この世にオレを知らない奴なんて、いないんだ。南極のペンギンだって、オレのことは知ってるぜ」 そう。 おそらく、南極のペンギンさえ、一真のことは知っているかもしれない。 一真は、世界的なグループ企業『KAZUMA』のトップのCEОだ。 南極の氷を解かす人的災害にも関係していることになる。 しかし、サトリにとっては、ただの父親である。 そのサトリは、枕元の目覚まし時計を見て、悲鳴を上げた。 「ぎゃー! マジで遅刻じゃん! なんでもっと早く起こさないのよ! もう、一真のハーレーで、学校まで送ってよ!」
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