< ブレイク・タイム >

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一真は、ひとつ深く、息を吐いた。 「新庄……、いや、鮫島。お前のことは、最初から、入社した時から、すべて調べて知っていた」 「えっ?」 新庄が狼狽えた。 「鮫島、俺が自分の第一秘書のことを何もかも調べるとは思わなかったのか…? 戸籍を変えようと、「KAZUMA」グループにとって、調べるなんて簡単なことだ。本当の新庄剣人と入れ替わったことも」 「……全部、知っていた……?」 新庄は、愕然とした。 「ああ。そうだ。鮫島京介と名乗っていた秘書は、本当は身寄りのない新庄剣人という男で、鮫島ではなかった。お前が鮫島に仕立てた……」 一真は続けた。 「そして、お前の家族が心中したことも知っていた。俺がお前を雇ったのは、その罪滅ぼしの気持ちもあったんだ……。お前が、鮫島京介ではなく、新庄剣人と名乗っているから、いつか、こういうことも起きるかもしれないと思いながら……」 そう言って、一真は、サトリを抱き寄せた。 「俺にも、家族が一番大切だ……すまなかったな、鮫島京介」 新庄は、その場にへたり込んだ。 「ずっと、騙されたふりを?」 「ああ……」 一真は答えた。
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