迷子

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「おばあちゃん、それでどうなったの?」 みっくんに顔立ちの似た男の子が聞いた。 ベンチで男の子と並んで座って話していた。 年をとって、いろんな事を忘れてもみっくんの事だけは忘れなかった。 あれからもう何十年経ったのだろう。 みっくんに会いたい。 会いたい……。 ママって言いながら、私をいつも追いかけて来た。かずまよりも手がかかって、いたずらばかりしてて、甘えん坊で、ぷにぷにの柔らかい頬っぺたで、抱っこするといい匂いがして……。 ママ、しゅき。 いつもみっくんはそう言ってくれた。 うっ……。 みっくん……。 ママ、みっくんに会いたいよ。 「おばあちゃん、泣かないで。はい」 男の子がハンカチをくれた。 「ありがとう」 目元にあてて涙を拭く。 「康太、どうした?」 男性の声がした。
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