迷子

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「おばあちゃんが泣いちゃって。パパ、ボク、意地悪は言ってないよ」 「わかってるよ。みっくんの話を聞いたんだね」 男の人はみっくんを知っているの? ハンカチから顔を上げると、目の前に知らない男の人が立っていた。 目が合うと優しく微笑んだ。誰かに似ている気がする。 「もう夕方ですよ。外にいたら冷えますよ。行きましょう」 男の人が私に手を伸ばす。 「ご親切にどうも」 男の人の手を取ると、あったかい。みっくんのもみじのおててを思い出す。みっくんの手はいつも温かった。 「みっくん」 思わず口にすると、男の人が目を見開く。その顔がみっくんと重なる。 まさか、みっくん? 「あなたは大人になったみっくん?」 「……お母さん、僕がわかるの?」 「うん」 みっくんが抱きしめてくれる。 やっぱりみっくんだ。みっくんの匂いがする。 みっくん、こんなに大きくなったのね。私の腕の中に収まっていたのに、もうみっくんの方が大きい。
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