13人が本棚に入れています
本棚に追加
「みっくん、ごめんね。ママ、みっくんを置いてお買い物に行ってごめんね」
「大丈夫だよ。お母さんがすぐに僕を見つけてくれたから」
「ママ、みっくんを見つけたの?」
「そうだよ。忘れちゃった?」
「……忘れちゃった。ママ、いっぱい忘れちゃったの。ごめんね」
「僕の事は覚えているでしょ?」
「うん。みっくんの事は覚えている」
「じゃあ、康太は?」
みっくんが男の子を見る。
よく見ると、みっくんにそっくり。
「もしかして、みっくんの子?」
「そうだよ。康太はお母さんの孫だよ」
「ママ、孫がいるぐらいおばあちゃんになってたのね」
「うん。今年で80歳。この間、みんなでお母さんのお誕生日会をやっただろう?」
言われてみればそんな気もする。
そっか。みっくんはちゃんと見つかったんだ。
こんなに立派な男の人になったんだ。
良かった。
「ママ、みっくんに会えて幸せよ」
「うん」
みっくんが涙ぐんだ声で頷くと、笑った。
二才のみっくんと同じ笑顔。
ちゃんとみっくんいたんだ。本当に良かった。
最初のコメントを投稿しよう!