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それを片手でキャッチした悠生は、フッと口許に柔らかい笑みを浮かべた。
「お疲れ様」
「ミイラ取りがミイラにはならなかったみたいッスね~」
運転席の男性がそう云ってニヤリと意味深な笑みを浮かべると、ジュンは「うっさいんだよ!」と男性の頭を掴んで車内へと押し戻す。
そして反対側に回り込むと、後部座席のドアを開けて荷物を放り込むやドカッとシートに身を沈める。
助手席に悠生も乗り込み、バックミラー越しにジュンを見つめる。
「ジュン、後悔してるンすか~?」
車窓から見えるマンションの窓の明かりに目をやるジュンに、運転席からヤジが飛んでくる。
「お前じゃないんだから、ンなわけあるかよ。さっさと車出しな、ケイ」
ケイ、と呼ばれた男性は「了解っす~」と笑いながらエンジンをかけて車を発進させる。
ため息をついたジュンは、再び車窓の外へと目を移す。
「……あら。新しいお客様ね」
ふと目を閉じた悠生は、そう云って口許に意味深な笑みを浮かべた。
と同時に、ジュンとケイの表情もガラリと変わる。
「今度は誰ッスかね~?」
「お前じゃね~の?」
ジュンとケイはそう云い合って、お互い口許に意味深な笑みを浮かべていた。
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