プロローグ

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プロローグ

 私は今、サイアクの気分で街を彷徨っていた。  原因は数分前に聞いた彼……うぅん、“元”彼からの言葉……    『ごめん……お前とはもう無理なんだ……』  何故か云われた私より傷ついた顔でそう云った彼。  てか、無理って何よ!?  てか、何でアンタがそんな哀しそうな顔してるワケ!? 悲劇のヒロイン気取りかよ!?  私、知ってるんだからね!? 同じ部署のカワイイ後輩チャンと食事に行ったりお泊りデート繰り返してたの!  私は“元”彼の愚行に怒りを覚えながら、足取りもつい荒々しくなっていた。  足早になる私の横を通り過ぎていくカップルたち。  当たり前だけど、こんな私なんかに目もくれず堂々とイチャつきながら街中へと消えていく。  そんなカップルたちを横目に、私はなんだか情けなくなってきて正直もう全てがどうでもいいような気分になってくる。  そして、ふと私はあるお店の前で足を止めた。 「何……?」  周りのお店は派手なライティングで客を引こうとしているのに、私の目の前にあるお店は必要最低限のライティングしか施されていない。  周りから少し浮いていたお店の看板には、妖しい字体で『DOLL』とだけ書かれていた。 「ドール? 人形の……?」  だけどディスプレイなどは一切なく、このお店が一体何を取り扱っているのかも定かじゃない。  なのに……  私は何かに引き寄せられるかのように、ドアノブに手をかけて店内に足を踏み入れていた……
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