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「今夜も、彼女に悪い虫がつかないように監視しに来たんだよ~」
「えぇ~、もったいなぁい!」
「先輩なんかやめて、私にしませんかぁ?」
本人目の前でなかなかに失礼な言葉を吐き続ける後輩たちに、美加は思い切り呆れのため息をつく。
だが、ジュンはにこやかな表情のまま冷たい口調で云い放つ……
「なんか……ねぇ。オレ、美加にしか興味ないんだ~。だから、君たちはその“なんか”以下ってコト」
「なっ!?」
「ごめんね~。……これ以上、オレの大事な人侮辱するのヤメてもらえる?」
表情はにこやかなのに、口調と目が笑っていないジュン。
元々整った顔立ちのジュンがすごむと冷徹さと恐ろしさが倍増する。
「ジュン……」
「な、なによ!」
「い、行こうよ」
自分たちを完全否定された後輩たちは、強気な態度を崩さないまま2人の前から立ち去る。
美加がジュンを見つめていると、不意に背後から声がかかる。
「朝生くん、今日は一段とキレイだねぇ」
「有馬部長。ありがとうございます」
そこには美加の働く部署の上司である有馬が立っていた。
ジュンは「誰?」と云いたげな目で美加を見つめる。
「ジュン、こちら上司の有馬さん。有馬部長、彼は……」
「彼氏立候補者のジュンくん……だろう?」
「ハハ……初めまして」
冗談交じりにそう云って手を差し出され、ジュンは複雑な笑みを浮かべてその手を握り返した。
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