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「はぁ……疲れたぁ……」
少し場を離れたジュンと別れ、美加は独りテラスへと出てきた。
あれからもジュン目当ての女性たちや、普段とは変わった美加に興味をひかれた男性たちに2人は律義に対応していた。
「人気者だな」
「っ!?」
そんな言葉と共に、頬に感じた冷たい感触に美加は驚いてその場から飛び退いた。
そこにはグラスを持った悟がニヤニヤして立っていた。
「悟!? なんなのよ、もう!!」
美加の苛立ち口調に、悟は「悪い悪い」とグラスを美加に差し出した。
悟からグラスを受け取った美加は「フン!」と夜景に目を移す。
「悪かったって。そんなに怒るなよ」
「別に……怒ってない、ケド……」
「……今日のお前、別人みたいだな」
「え?」
「馬子にも衣裳……とは云ったもんだ」
「ケンカ売ってんの!?」
そう云って笑った悟に、美加はキッと睨みつけるような視線を向ける。
「冗談だって。……すごく、キレイだよ」
「あ、ありが……とう……」
急に真面目な顔をしてそう云ってきた悟に、調子の狂った美加は戸惑いがちにそう云って再び夜景に目を移す。
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