doll 1 : ジュン

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「はぁ……疲れたぁ……」  少し場を離れたジュンと別れ、美加は独りテラスへと出てきた。  あれからもジュン目当ての女性たちや、普段とは変わった美加に興味をひかれた男性たちに2人は律義に対応していた。 「人気者だな」 「っ!?」  そんな言葉と共に、頬に感じた冷たい感触に美加は驚いてその場から飛び退いた。  そこにはグラスを持った悟がニヤニヤして立っていた。 「悟!? なんなのよ、もう!!」  美加の苛立ち口調に、悟は「悪い悪い」とグラスを美加に差し出した。  悟からグラスを受け取った美加は「フン!」と夜景に目を移す。 「悪かったって。そんなに怒るなよ」 「別に……怒ってない、ケド……」 「……今日のお前、別人みたいだな」 「え?」 「馬子にも衣裳……とは云ったもんだ」 「ケンカ売ってんの!?」  そう云って笑った悟に、美加はキッと睨みつけるような視線を向ける。 「冗談だって。……すごく、キレイだよ」 「あ、ありが……とう……」  急に真面目な顔をしてそう云ってきた悟に、調子の狂った美加は戸惑いがちにそう云って再び夜景に目を移す。
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