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「あ、あがった?」
シャワー上がりの美加に、キッチンから出てきたジュンがそう云って笑顔で迎える。
その手には湯気が立つミルクの入ったマグカップを持って。
そして「ハイ」と手渡されたカップを受け取ると、美加はゆっくりと中のミルクを飲み始める。
「あはは。今夜はちゃんと髪乾かしてるね」
ミルクを飲む美加の髪をひと房取ると、ジュンはそう云ってニッコリ笑った。
美加はマグカップに口をつけたまま、ジュンを上目遣いに見つめている。
「ん?どうしたの?」
何か云いたそうな美加の目に、ジュンはそう云って小首を傾げながら彼女の顔を覘き込む。
だが、美加は何も返答しようとしない。
ふとジュンから視線を外した美加は、口から離したマグカップに視線を落とす。
「美加? 黙ってちゃ分からないよ」
「ジュン……」
「ん?」
心配そうな美加の表情に、ジュンは更に小首を傾げて彼女を見つめる。
美加はゆっくりとジュンを見つめ返すと、ためらいがちに口を開いた。
「ジュンは、好きな人……いるの?」
「え……?」
突然の美加の言葉にジュンは一瞬ためらいをいせる。
吹っ切れたような美加は、たじろぐジュンに更に言葉を続けた。
「ジュンは、好きな人はいるの?」
「……そんなコト聞いてどうするの?」
「知りたいの……」
「……知っても、忘れちゃうんだよ?」
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