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ジュンは冷静にそう云うと、美加をお姫様抱っこしてソファーへと運び横たわらせる。
不安げな美加に、ジュンは優しい眼差しで見つめ返していた。
「ジュン……私……」
「美加、美加にはちゃんと相応しい相手が現れるから。安心して?」
「何ソレ……答えになって、ないよ……」
気怠そうな体とは裏腹に、美加の激しいほどの情熱的な双眸から一筋の涙が溢れる。
睡魔の誘惑と必死に戦いながら、美加は涙でぼやける視界でジュンを見つめていた。
「美加……指輪、外して」
「え……?」
「オレたち【ドール】は契約者がつけてる指輪に触れない。美加の手でしか外しちゃいけないルールなんだ」
「いやよ……まだ時間はあるわ……お願い、ジュン……」
「……」
涙を流しながら訴える美加に、ジュンは少し眉根を寄せる。
そしてギュッと目を閉じ、ゆっくりとその目を開くと美加の耳許に唇を寄せた。
『美加……いい子だから、外すんだ……』
呪のようなジュンの言葉に、美加はそっと目を閉じると同時に右手小指で光る指輪をゆっくりと外した。
そして次の瞬間、美加の意識は深い眠りの中へと堕ちていく。
指輪は美加の手からこぼれ落ち、そしてコロコロと床を転がった……
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