死に戻り令嬢が売れない戯曲家にハッピーエンドを望んだら、世界を救うことになりました。

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(どういうことなのかしら。わたしは確かに殺された。だというのに生きている。それどころか時間が巻き戻っている。緑の月二十三日といえば、オーウェン様が……)  クレアの婚約者ことウォリック伯爵令息のオーウェンが、辺境の魔物討伐から凱旋する日である。  この国の貴族は生まれつき、誰でもひとつだけ魔法が使える。  クレアも、かすり傷程度なら治癒魔法が使える。  オーウェンの場合、それが強力な攻撃魔法だった。  彼はこの出来事をきっかけに『勇者』という称号を与えられることになる。  そして、傍らには『聖女』と呼ばれるようになるシャルロット。彼女は平民でありながら強力な治癒魔法を使えるため、女神の加護があるのだと崇められている。  一度見たことがあるが、クレアではとてもかなわない強力な治癒魔法だ。  やがて、オーウェンとシャルロットは愛し合うようになる。 (それは当然の流れだと思うわ。立っているだけで絵になるようなおふたりでしたもの)  クレアだって、オーウェンのことは子どもの頃から慕っている。  しかし勇者となったオーウェンは手の届かない青年になってしまった。  遠くから彼の幸せを見守るだけでもいいと、婚約を破棄されてもしかたないと、そう思っていた。  一方で世間はおかしな方へ転がっていった。
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