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シャルロットへ嫉妬したクレアは陰湿な嫌がらせをするようになる。最初は些細なものだったが、やがて、命を落としかねない事態に発展する。王国としては聖女を虐げるようなことがあってはならない。よって、クレア・クロムウェルを斬首刑に処す。
それはクレアが一度目に命を落とすまでの道のりだ。
(ありえない。わたしがシャルロット様とお会いしたのは、この凱旋のとき一度きりだった。誰かがわたくしを陥れたのよ……そうだわ)
そこでクレアは閃いてしまった。
「シャルロット様にお会いしなければいいのよね!?」
ということでクレアは婚約者の凱旋パレードを、仮病で欠席することにしたのだった。
***
王都中が、オーウェンとシャルロットの帰還に対する喜びで包まれている。
魔物は平和を脅かす脅威だったから当然のことだ。
(……それでも、オーウェン様の雄姿は見たいのよね)
仮病を使って引きこもっていたクレアだったが、今は、ストールで頭を覆った変装スタイルで大通りに来ていた。
思い通り歩くのが難しいほどの人混みに紛れて、これから馬に乗って現れるであろうオーウェンたちを待つ。
ざわっ、と歓声が上がった。
「見て! オーウェン様と、シャルロット様だわ!」
声につられてクレアは視線を向ける。
どきん、と大きく心臓が跳ねた。
(すてき……)
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